ノイズ
「俺たちも帰るか。可奈、後ろ乗れよ」



「うん」



制服のスカートの裾が気になった可奈は体を横に傾けるようにして荷台に座った。


文也が自転車のスピードを徐々に上げていく。


油断すると落とされそうな気がしたので、文也のウェストに可奈はしがみついた。


「…文也」



「なんだよ」



「おばさんとおじさん怒ってない?」



「そりゃ怒るだろ。いきなり家の前からどっか行っちまうんだから」



「そうだよね。ごめん……」



「俺に謝ってもしようがないだろ。家帰ったら父さんと母さんにちゃんと謝っとけよ。それから、あんま一人で無茶すんなよ」



「…うん」



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