ノイズ
「またいつもの偏頭痛か?帰ったら薬飲んで早く寝ろよ」



「でも、パソコンで調べないと……」



「俺が調べといてやるよ。今日はさ、色々あって大変だったろ。ゆっくり休んだ方がいいって」



「…うん。悪いけどそうするね」



闇の住人たち――いわゆる霊の姿が見えることを文也に話したことは一度もない。


文也が怪談やオカルトをひどく嫌っていたせいもあるが、可奈にとって霊の話はタブー以外の何物でもなかった。


幼い頃はまだよかった。


目に見えない霊の話をしても、たわいのない子供の空想話として、大人たちは笑って受け入れてくれたから。


しかし、物心がつき、学校という集団の中に身を置くようになると話は全く違ってくる。


そこで可奈は嫌というほど思い知らされることになる。


《人間は異質なモノを排除する》


恐ろしい生き物であることを………



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