ノイズ
「どうして?どうして帰ってくれないの?」



「わかんない…でも、そう言ってる…」



手順は何も間違っていないはず。


いつも通り「こっくりさん、こっくりさん、お帰りください」とみんなで唱えたし、誰も十円硬貨から手を離してはいない。


「こっくりさん」は交霊術の一種だから、行えば霊は必ず集まってくる。


しかし、今日集まった霊の数は尋常ではなかった。


さっきまで、夥しい数の霊たちが教室中に溢れ返っていたのだ。


「…もうヤダ…お家に帰りたいよぉ…」



真理が恐さと指の痺れに堪え切れず、とうとう泣き出してしまった。


「真理、お願いだから泣かないでよ。…真理が泣いたら……あたしも泣いちゃう……」



春香も泣きはじめた。
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