ノイズ
「そのカッターをこっちに寄越しなさい!」



女子高生は運転手の呼びかけにも答えようとせず、なおも無表情で立っていた。



鮮血がカッターナイフから右手を伝わり、床にポタポタと血の水溜まりを形作っていく。



「さ、危ないから…カッターを早くこっちへ……」



運転手は女子高生を刺激しないように声のトーンを落とし、静かに歩みよった。


「……が……の……」



女子高生が何か呟いた。


「…え?何だって?」



上手くいけば説得出来るかもしれない。


運転手は慎重に話しかけ続けた。

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