ノイズ
「そんなこと言われても……あたし……わかんないよ……」



可奈だって本当は怖い。


泣きたいのを必死で我慢しているのだ。


女の子の霊は十円硬貨から手を離すと、今度は紙を置いてある机を揺らし始めた。


「キャーッ、キャーッ!」



ガタガタと机が動き出したので、みんな恐怖のあまり悲鳴をあげた。


今すぐ、この場所から逃げ出してしまいたい。


早くお家に帰って、ママの暖かい腕に抱かれて安心したい。


恐怖で震えながらも少女たちは、十円硬貨から手を離すことだけはしなかった。


手を離してしまうと「こっくりさん」に呪われる……


絶対に守らなければならないルールだった。
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