ノイズ
生まれつき体の弱かった奈津子は、可奈を産んでからというもの、体調を崩して寝込むことが多かった。


近所に住んでいたよしみもあって、何くれとなく面倒を見ていたのだが、奈津子が亡くなってからは忘れ形見の可奈を自分の娘のように大切にしてきた。


紀子にとって可奈は、自分の一人息子である文也と同じくらい大切な宝物だった。


「可奈ちゃん、わかってるの?あなたは女の子なんだから、もっと自覚を持ってくれないと」



「母さん、ストップ!」



こうなると紀子の説教は長い。


これ以上聞かされては堪らないので、文也が強引に紀子の台詞を遮る。


「可奈も反省してるだろうし、もういいだろ?それよか、偏頭痛らしいから早く寝かせた方がいいって」



「まぁ、可奈ちゃん…頭痛ひどいの?お薬まだある?」
< 87 / 309 >

この作品をシェア

pagetop