ライラック
第1章
嵐の前兆
キーンコーンカーン。
今日の授業が終了して、部活に行こうと席を立った途端。
「あーやーのー。」
離れた席から親友の美奈が走ってくる。
同じ教室なんだから、走らなくていいのにとは言わない。
言ったら後が怖い。。。
「綾乃。部活行こう!!」
「うん。早く愛しの先輩に会いにね。」
「綾乃!!」
私と美奈はバスケ部のマネージャ。
で、美奈の好きな人が3年生の桐野輝先輩。
レギュラーで頭もよくて、格好良くて学校の人気者。
まぁ、要するに先輩を好きな人は、学校内にたくさんいるわけで。
美奈のことは応援したいけど、心配もしてる。
「今日は、先輩と話せるかな?」
「う~ん。今日も囲まれてるかも…」
「そこは話せるよって言ってよぉ~」
そんなことを毎日言いながら、私たちは体育館に向かった。