メガネ男子は俺様王子さま
「それに美羽ちゃん、瞳子さんと性格そっくりなんだから。本当に自分で決めたら他人の意見なんか聞かないくせに…もう瞳子さんで慣れたけど。」



ちょっと口を尖らせてすねた顔を横に向けてしまいました。今考えているのは、私のことじゃなく母のことでしょう。目が寂しそうに遠くを見ています…。



そんな父様の目を見ていたくなくて、話を強引に打ち切りました。



「わかりました。自分でよく考えてみます。ありがとうございます。」



…そうですね。父様に相談しても解決するとは思っていなかったかもしれません。ただ聞いて欲しかっただけで。



ハッとこちらを見た父様は、壁の時計を見ると
「あぁ〜!大変。今日は研究室に戻るんだった〜!」

ガバッと立ち上がると、私の手を取り

「どちらにしてもよく考えて。結果がでたら教えてね?じゃ、行ってきます。」


「あ、洗濯した白衣が部屋に置いてあります。持って行って…」



「いい!誰かの借りるから。」



バタバタと走って行ってしまいました。途中でゴンと激しい音がしていましたから、また玄関のドアにどこかぶつけたみたいです。大丈夫でしょうか…。




鍵をかけに玄関に行ってみると、父様の靴がちゃんと揃って残っていました。代わりに父様のご近所ばきの下駄がありません。あれで走って行ったのでしょうか?確実に大学に着くまでに転んでいるでしょうね…。



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