メガネ男子は俺様王子さま
この一週間で考えていたのは、本当はモデルという仕事についてではなく、私にとっての拓海という存在についてなのかもしれません。毎日毎日考えて出した結論は…。
そんな複雑な気持ちを持て余しているのに、拓海はまだニヤニヤしているし、父様は横で社長さんと閑かに関係ない話に花を咲かせていますし…。
「本当にここのところの地球全体の異常気象はおどろきますよね。」
「えぇ、ですから今取り組んでいるのは気温が上がっても下がっても安定して働くものなんです。特に日本で使用するに耐え得るものとしては、湿度も欠かせない条件ですね。」
「ほう、やはり作用するのに気象条件が関わってきますか?」
「えぇ、もちろんです。その為にいちいち環境を整える設備投資できるならいいんですが、全ての対象者がそうとは限りませんから。何?美羽ちゃん。ちょっと待ってね。例えば、気温変化に弱い細菌に変化に強い細菌を合わせた場合ですね…。」
私が脇を突っついてもあっさりスルーされてしまい、向かいで拓海がまた声を出さずに笑っています。
「ゴホン。あの〜そろそろここまで来ていただいた本題に入ってもいいかしら?」
安斎さんが引き攣りながら話を強引に引き取ってくれました。
そこでようやく今どこにいるかに気づいた父様は、すみません…と言うと小さくなってしまいました。
やれやれです…。