メガネ男子は俺様王子さま

カランカラン♪
そこは正に喫茶店と言うのにふさわしく少し暗い照明にカウンターと低めのテーブル席が3つ。見回すまでもない店内で、入ってすぐに父様がいるのがわかりました。



「そこで私が考えたのは、暗くなると自然発光する苔の…」




……またやってます。


静かな喫茶店中に声を響かせて手を振り回しながらまた何かの説明をしていて、ベルを響かせて人が入って来たことにもちっとも気づいてないでしょうね。



安斎さんは苦笑しながら私達に手を上げて合図してくれましたが、熱弁中の父様と聞いている社長さんは見向きもしません。



テーブルの脇に立ち、


「お待たせしました。」



父様の肩に手を置くと、振り返って一瞬キョトンと私を見上げました。

…本気で忘れてましたね。なぜここにいるのか。



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