メガネ男子は俺様王子さま
柔らかな別れ
「いらっしゃ~い!」
あれ…?
マンションの一室の呼び鈴を押すと、応答の声もなくいきなりドアが勢いよく開け放たれ、盛大な歓迎を受けました。…が、え~っと。
「お邪魔します…」
出迎えてくれた人についてたくさんの人がいる気配のする奥の部屋に向かいながら、前を歩く拓海の服の裾をそっと引っ張って、気になっていたことを聞いてみました。
「拓海、あの人って…私知ってます?なんか覚えがあるような…」
さっきからわだかまっているモヤモヤしたものを拓海に尋ねると
「くくっ…お楽しみ」
笑うばかりで教えてくれません。会ったことある人だと思うんですけど…。