メガネ男子は俺様王子さま
「この写真を撮ったのは偶然だったんだ。まだ、モデルになる前のあいつ。たくさん人がいる街中で、この眼に惹き付けられて気づいたらシャッターをきってたんだ…。その後で思いっきりにらみつけられたけど。いやぁすごい迫力だったよ。」
苦笑するリチャードさんの眼は、その頃に飛んでいるのでしょう、所々画鋲の穴のあいた白い壁に向いていました。
「だからその後遠山社長がカイを連れて来たときには、本当に驚いたよ。」
リチャードさんは優しい眼で、こちらを振り返りました。その表情を悪戯っ子のようにくるりと変えて声を潜めると、
「だって本当に怖かったんだよ。鋭い視線でさ、いい大人が無条件でヤバいって思ったんだから。それがモデルって…はっきり言って出来るわけないって思った。あんなに周りの全てを拒絶していたら無理だって。だから、その場であいつにも社長にもはっきりそう言った。そしたら…」