メガネ男子は俺様王子さま

「いや、正確には今までなかった、だな。確かに存在感は凄いよ。モデルになった時のあれは半端じゃない。だからもどかしいんだ。あいつを撮ろうとすると不思議とすり抜ける感じっていうか、スッとあいつ自身が消えるんだ。あーっ!うまく言えないなぁ。カイはいるんだ、そこに。でも俺の目を惹き付けたあいつはどこにもいない。わかるか?」




うーん?わかるような?


「リチャードさんはカイじゃなくて拓海が撮りたいってことですか?」




確かに拓海とカイは全く違う面を持っていますが。


「いや、ちょっと違うな。普通どんなに違う人を演っていてもその中にその人自身が感じられるもんだろ?だが、あいつがカイになると、あいつ自身が見えなくなる。だけど…」




リチャードさんは、話している間中深く刻まれていた眉間の皺を人差し指で軽く揉むと、ニッカリと明るい顔で私と真っ正面から向かい合いました。


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