メガネ男子は俺様王子さま

「この間美羽ちゃんと喋ってたあいつはカイであってカイじゃなかった。睨み付けてきたあいつでもない。だから思わず撮っちゃったんだけど。この写真は、あいつには内緒な。安斎達にも。…俺はこの変化の先のあいつを見てみたい。」




拓海は私といることでかわってきているんでしょうか…。

それをリチャードさんは肯定してくれているようですが、モデルとしての地位を築いているカイにとって変化は必ずしも歓迎されるわけではないことに気づいてしまいました。



私は拓海の側にいても、いいのでしょうか?




…でも、いくら胸が傷んでも私はもう自分から拓海と離れることなどできないと思い知ってしまったのです。


モデルをするかどうか考えていた時、頭にあったのはモデルをすれば拓海という存在をより深く知ることが出来るということでした。


拓海という存在…。


いきなり私の学校生活に入り込んできて振り回した人。静かに淡々と、そして平和に過ごしていた日常に大岩を投げ込むように、大きな波をたてた人。


けれど、それはどれ一つをとっても決して嫌ではなく、却って自分からは望んでも出来ない大きな一歩を踏み出す手助けになっていることに気づき、どんなに驚いたでしょう。


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