メガネ男子は俺様王子さま
「それじゃ。」
バタンと一枚扉を締めただけでリチャードさんの世界から切り離されたような、二度と会えないような心許ない気持ちになりながらエレベーターに向かって拓海と歩を進めていると、
「じゃあ!私も帰る。明日私は行かないから。雪ちゃんは見送り行くって外出許可もらってたよ。よかったね。バイバイ、りっちゃん。」
瑠奈さんが飛び出した勢いのまま私達に突進してきました。
「おい…?」
玄関の扉を開けてリチャードさんが追いかけて出てきましたが、部屋の中から呼ばれる声にふと足を止めました。
「じゃ、ね。」
瑠奈さんは一度だけ振り向いてから、私と拓海の間に入り両腕で私達を引っ張ってズンズン歩きだしました。