メガネ男子は俺様王子さま

「お…おい。いいのかよ。もう行っちまうんだろ?次は本当にいつ会えるかわかんねぇんだぞ。」



拓海が踏ん張って立ち止まらせようとしましたが、瑠奈さんは私達の腕を離し黙々と歩き去ってしまいます。…拓海はこの二人の事情を何か知っているようですが、何も出来ずに二人を見比べています。




リチャードさんは扉の前に立ち尽くし、ただただ呆然としているようです。



私は思わず「追いかけた方が…」とリチャードさんに声をかけましたが、瑠奈さんの声が鋭く響きました。

「来ないで!」



振り向いた瑠奈さんは、声の険しさとは対照的に弱々しく笑いながら

「……ホントにバイバイ。」



と言うとくるりと背を向け、走り去ってしまいました。

「瑠奈!」



そんな瑠奈さんを追いかけたのは…、拓海でした。

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