メガネ男子は俺様王子さま
痛い戸惑い

「ちょっとそこにボーッと突っ立ってたら邪魔なんだけど、どいてくんない?」


「あ、すみませ…きゃっ」


「ちょっと気をつけてよね!」

「は、はい。ごめんなさい。」


今日の撮影現場は正に戦場です。一度に大勢を撮る為に現場スタッフはみなバタバタと走り回り、モデルさん達も準備に力が入っています。



いつまでも鏡に向かっているのが苦手な私は、皆の熱気に耐えきれず早々に支度を終えて控え室から出ました。が、さっきから居場所がありません。



「早くそれ運んじゃって!」


「これどこの背景の机か知ってる?」



「ばか!それはあっちのだろうが。早くしろ。」


そんな喧騒の中で立ち竦んでいると、

「あなた誰?」


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