隣のキミと

「もう、人混みの多いところは、行きたくないし」


「えぇ………」



あたしが出した声に、玲央はあたしを見る。



「優芽は、行きたい?」



あたしを見つめるその瞳を見ると、素直に言えなくなってしまう。



「玲央が行きたくないんだったら、別にいい」



嘘。


ホントは行きたい。




だけど、素直になれないあたし。



「ってことで、オレらは行かないから」



「えぇっ、良い考えだと思ったんだけどな〜」



千穂は、何やらぶつぶつと呟いていたけど、諦めたみたい。



千穂……っ



もっと、玲央のことを誘ってみてよっ



自分で言えない分、千穂に頼んでみるけど、諦めてしまった千穂は、もう別の話をしている。



ハァ……


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