レンタル彼氏



体を起こすと、
熟睡しすぎて少しふわ〜っとめまいがした。

時計は夕方の4時をさしていた。



『寝過ぎじゃん、私。』



ベッドのすぐ横にある小さなテーブルに、

置き手紙が見えた。



なにやらビニール袋も一緒に置かれている。



“バイト行ってくる!
起きたら薬飲んで安静にしてること!
できるだけすぐに帰ってくるけど、なんかあったら絶対連絡しろよ!”




どこかぶっきらぼうだけど、男の人にしては丁寧な字。



ビニール袋の中には
風邪薬と熱さまシートと栄養補給のドリンクが入ってた。



『わざわざ買いに行ってくれたんだ……』




なんで、そこまでしてくれるの?


いくら彼女って言ってもゲームなんだし、


こんなに優しくするのは、ずるいよ。




やばい…

好きになっちゃう。


最終日だっていうのに
寝込んじゃって、


私…今弱ってるからかな?



最初はあんなにわけわかんなくて抵抗あったのに、
今はお試し期間が終わるのが嫌で嫌で仕方ない。



ゲームでもいい。


若草くんがこんなに優しくしてくれるなら、


離れたくない。



一緒にいたい。




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