レンタル彼氏
その夜――
今日も慎吾は晩ご飯を食べて帰ってきた。
あらかじめメールがあったから、私も作らずに済んだんだけど…
「ほんと…ごめんなー最近。」
『謝んなくていいよ。
バイト忙しいの…?』
「いや…特に忙しいってわけじゃないんだけど。」
いつものように二人並んでソファーに座る。
旅行のこと…
話してみよっかなあ。
『あのさ…慎吾!』
ブー ブー ブー
慎吾の携帯が震える。
「あ、わり。」
慎吾は携帯のディスプレイを見るなり
ソファーから立ち上がった。
「もしもし、あ…うん。
お疲れ。
あーいいよいいよ全然。
え?………あ…まじ?
ごめん、じゃあ次まで預かっといてくんない?
ん。ごめんね。
はーい。」
電話を切り、
再び私の横に座る。
なんで、テレビでも付けてなかったんだろ。
気のせいかな?
静まり返った部屋の中じゃ
いくら距離があっても
なんとなくトーンが聞こえちゃうんだって…
高い
女の子の声だったような気がした。
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