裏切りそして塀の中。
らいあには母親としてなにひとつ正しいことはしてやれなかった。

苦しかったやろ?

きずいてもらえなくて淋しかったやろ?

抱きしめてやれんでごめんね。


とりあえず親に言った。

『やけんゆったろうが。なんばしよっと。相手は誰ね?』

私は返す言葉がみつからなかった。

との?こうき?

『今何ヶ月かはっきりわからんけん。』

『そうね。明日病院いってこんねよ。』

何度も考えたけど、結局誰かわからず朝がきた。


初めての産科。

初めての子供。

周りは妊婦や、小さい赤ちゃんを連れたママ。

だんだんとまともに見れなくなって、名前呼ばれるまで、ずっと下を向いていた。

心の中は罪悪感でいっぱいになっていた。

いつかはこうなる事はわかっていながら、今までやってきた。

救いようのないバカ。

まだ私はなってみないとわからない子供だった。

独りで大人ぶってしちゃかちゃしてきた罰だ。



名前が呼ばれ、診察が始まった。

足が開く診察台に乗って、モニターに小さな粒が映し出された。

『あ〜もう4か月ね。はい、もういいよ。』

涙があふれだし、頭の中は真っ白で立ってることすらできなくなっていた。
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