裏切りそして塀の中。
私のために言ってくれたのは、この人が初めてだった。

母親はこんな事になって、初めて言ってきたというのに…。

『もしやぎらぁが入っとったとしても彼氏なら普通かばうやろ。なんでこげんゆったかわかるか?』

『さぁ?私に他に彼氏ができると嫌やったけん?』

『おぉ頭よかな。それしかないたい。でもやぎらぁは店に入ってないとやろ?』

『うん。誰も信じてくれんけどね。やけんもう別にいい。信用されんような事してきたの私やし。』

少年院は行きたくなかったけど、もう半分諦めていた。

母親から後になって聞いた。

調査員が判決を決めてると言ってもいいらしい。

だから、調査員が更正しないと思ったら少年院送致になるかもと。

鑑別に来て二週間が経ったある日。新しい人が入ってきた。

廊下を歩く小柄の女の子が見えた。

《あさみ…。》

あさみは別件で捕まって鑑別に来た。

でもそれ以来、顔を合わさないまま私の判決の日がきた。

私はまた地元に戻され家裁に車で行った。

裁判所につき、説明を受け、部屋に入ると母親が居た。

それまでしていた緊張がとれた。
母親の顔をみると安心した。
と同時に出たいという気持ちが強くなった。
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