裏切りそして塀の中。
『なんしよっと?俺昨日出てきたばい。今ひまと?』

『おめでとぉ。今家におったよ。暇人しとった。』

『ひまなら今から家こん?』

『いいよ。今から用意して家出るとき電話する。』

『わかった、まっとくたい。』

はじめの事なんて頭になかった。
思い出しもしなかった。
まず考えたくもなかった。

私は急いで用意してたつやの家に行った。

なんかものすごい嬉しかった。

かばってくれたのはたつやだけやったし、私の中で少し気になる存在になっていた。

《私、たつやの彼女になりたい。》

たつやの家に行くと少し恥ずかしそうに私を迎え入れてくれた。

初めての二人きりだった。

私はまずあの時のお礼を言った。

『審判の時かばってくれてありがとう。調書読んだよ。』

『いや、かばったってやぎらぁは入ってないやん。本当の事言っただけばい。ってか俺の取り調べとにあいつらやぎらぁの事しか聞いてこんけんね。』

『あぁ、私だけ否認しとったけんね。ずっと入ってないって言いよったもん。』

『やぎらぁは入ってないとやけん、それでいいっちゃない。』

『まぁ誰も信じてくれんやったけどね。』

『そういや、裁判官も入ってないとか?って聞きよったもんね。信じらん奴はバカって思っとけばいい。』

私はたつやのこの優しさに惚れた。
もう自分を止められなかった。

彼女になりたかった。

『ねぇ、俺達付き合わん?』

『それってヤりたいけん?』

自分でひがみ根性が強いなと思った。
素直になりきれない自分が嫌になった、

『そげなん風に俺ばみとったと?なんかえらいショック』

『いや、そうじゃないけど…いいよ。』

『んなら決定ね。』

その日のうちにヤった。
もうそれは私の中で当たり前になっていた。

それから時間があれば一緒にいた。
一緒にいれば必ずした。

でも1ヶ月経たないうちに、たつやの行動がおかしくなってきた。
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