裏切りそして塀の中。
家に帰ろうと駐輪場の横を通った時、一台の原付が目に入った。

シートの鍵穴に鍵が差してあった。

すぐに私はその鍵を抜いて家に帰った。

初めて原付をパクった。

先のことは考えなかった。

30分して原付のとこに戻り、鍵を差して原付を押してまた家に戻って、家の下の駐輪場に隠した。

そしてあさみに電話した。

『あさみ、あしが手に入ったよ!』

『マジ!どうしたと?』

『鍵がささったまんまになっとったけんもらってきた。』

『そうね!ならいつも通り用意できたらメールするね!』

『わかった。私もメールするたい。』

それから毎日あさみと原付でいろんなとこに言った。

その日もあさみと遊んでて、私は幻覚をみた。

あさみが私に「早く帰」れと言っていた。

でも実際は言ってなかった。

私はそのままフラフラと原付に乗って家に帰って、下のいつも停めてた駐輪場に入って、原付のエンジンを切った。

『バタン。』と車のドアを閉める音が聞こえた。

私はとっさに逃げた。すごい勢いで階段を上った。

なぜか逃げないといけないと思った。五階まであがったとこで深呼吸をして息を整えた。

下から階段を上ってくる音がした。
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