裏切りそして塀の中。
『兄ちゃん今なんしよる?』

『遊びよる。』

『迎えこれる?』

『本署。』

『わかった。』

電話を切ったら警察が話しかけてきた。

『兄ちゃん来るとか?』

『うん。』

『お前シンナーしよるやろ?』

『なんで?』

『しよんならやめとけよ。体ばもうちょっと大事にせな。せっかく親が生んでくれたっちゃけん。シンナーしよって一番お前が損するんばい。シンナーしよって得する事は絶対ないぞ。子供が出来たときしよったら子供がかわいそうやろ。お前は女で生まれてきとるとやけん、子供が出来てもしよったらどげんすっとか?まともに生まれんぞ。今ならまだ間に合う。もう辞めとけ。』

この時は説教オヤジとかしか思ってなかった。

あゆみちゃんと一緒で私のことを考え、後悔しないようにってゆってくれた言葉なのに、子供はなぜ理解できないのだろう。これが理解できればあんな事にはならなかったはず。

この時理解できれば…。


兄が迎えに来た。

警察の前では笑っていた。

警察を出て車に乗った。

『窃盗すんなら捕まんなやん。お前バカか?』

『だって後ろみてなかったとやもん。』

『シンナーしよったとか?』

『いや、してない。』
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