裏切りそして塀の中。
したと言ってたらどうなってただろう。

『お母さんには俺からはゆわんけん自分でゆっとけよ。』

『わかった。』

家に向かっていると思っていたら、車は違う方向に行っていた。

《家じゃなくてどこに連れてかれるとやか…。》

と思っていたら通じたかのように、

『どうせ今帰ってもお母さん寝とるけん起きてから帰るばい。』

と言ってドライブをした。

あの時のことは一生忘れない、兄との思い出になった。

母親が起きる時間になり、家に帰った。

私は母親に言えずに、すぐ部屋に行って寝た。

でも言わないと兄になんてゆわれるかわからないし、怖かったので、言わないといけないとは思っていた。

私は小学生の頃、兄に殴られかけてから兄の事が怖くてしかたなかった。
それは今も変わらず、あんまり2人にはなりたくなかった。

目が覚めると母親は仕事から帰ってきてご飯を作っていた。

私は一緒にご飯を食べた。

『今日の朝方、原付窃盗で捕まった。』

母親は私の話を黙って聞いて、話終わると初めて口を開いた。

『知っとるよ。兄ちゃんから朝聞いた。たぶんゆわんやろうけんゆっとくって言いよった。』

兄は私を心配してくれていた。
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