an alley cat
「ごっめーん!長電話しちゃった!」






黙りこくった私たちとは逆に、笑いながら椅子に座る華夜ちゃん。


「・・・元彼?」


静かに聞いたのは安奈ちゃん。



「えぇ、バレた?そーそー!しつこいったらないよ~」




そう言った華夜ちゃんの顔が、少し無理しているように見えたのに、安奈ちゃんも気付いているはず・・・。



「無理するな、華夜」


「心配しすぎだって!ね!ほら、あと10分だよ!そろそろお店出よっ」


「うん・・・」

「そうだな、そろそろ行こっか」






「ありがとうございましたーまた来てね~」


笑顔の恋さんに手を振ってお店を出ると、外はすっかり薄暗かった。






「あ!冬真と龍!」




「あ?何お前等も花見か」

「よーさっきぶり!」


龍斗くんが安奈ちゃんに話しかけ、冬真くんは私に笑いかける。


「・・・うん」


私は急に恥ずかしくなり、俯く。


「のの?」

安奈ちゃんと華夜ちゃんに顔を覗き込まれ、慌てて顔を上げた。



「ちょうどいいや、一緒に行こーぜ」





冬真くんと龍斗くんは、私たちの少し先を歩いて行く。





< 37 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop