an alley cat
「のの、顔赤いよぉ~?」



学校へと続く、長い坂を上っている途中、ニヤついて私の顔を覗きこんできたのは、華夜ちゃんだった。


「・・・・!?」


私は慌てて顔を上げた。


「何~?ののはあの2人のどっちかが好きなの?」


華夜ちゃんは興味津々、といった調子。


―うっ・・・何て返せばいいの!?



困っている私の顔を見、安奈ちゃんが口を開いた。



「・・・冬真?」



―!!!!!!!!!!!!



私は目を見開いて安奈ちゃんの顔を見る。


「分かりやすいな」

安奈ちゃんも、目を細めて笑っている。


「へ~ぇ!冬真だったんだぁ!」


華夜ちゃんは私の肩に手を乗せ、先を歩いていく冬真くんを見た。



「・・・ののは冬真が好きだったのか」

「ん?安奈、どうしたの」


安奈ちゃんは深く考え込むように、眉間に皺を寄せていた。



「「?」」


私と華夜ちゃんは互いに顔を見合わせ、首を傾げる。



「そうか・・・う~ん」


安奈ちゃんは、1人で何かぶつぶつと言っている。


「安奈~戻って来~いっ」


華夜ちゃんが安奈ちゃんの目の前に行き、パンッと音を立てて手を合わせる。


「ん?」

安奈ちゃんはやっとこっちを向いてくれた。


「何言ってんの?さっきからぶつぶつぶつぶつ・・・不気味」

「あぁ・・・これは言っていいのか、悪いのか・・・分からなくて」


と、ようやく聞き取れる位の声で言った安奈ちゃん。

「いいじゃん、言ってみ~?」

「うん、聞きたい」


私と華夜ちゃんが言うと、安奈ちゃんは少し赤らめた顔で、


「私は・・・その、龍が好きでな、そのぉ、だから・・・」


そう言ったきり、口を閉ざしてしまった。






「っ・・・ぇえええええ!?嘘!?まじで!?」


辺りに響き渡るような大声を上げたのは華夜ちゃんだった。






―み・・・耳が・・・。


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