あの白に届くまで


兄貴は相変わらず異常にうろたえている。



「ゴメン!泣くほど酸っぱかったとは思わなかった!」

「う……っ」

「悪かったって。許せ、大地!」




舌に残ったのは涙味。
手の中でくしゃくしゃに丸まった包み紙は、あの日先輩がくれた飴と同じ色だった。




――It brings back memories.





思い出は蘇る。


そして人に、気付かずにはいられなくさせる。






「…アイミス、ユー」





―――あなたがいないと、

寂しくてたまらないのだ。



と。





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