あの白に届くまで


大学に入ってからは2、3回しか会ってなかったから。

ちょっと懐かしい気持ちで拓巳を見つめた。



「…といっても、俺はよく知らないんだよね」

「…え?」

「大地が言ってた"心当たり"の場所も。結局アイツは俺にも教えてくれなかったし。雄大先輩には教えてるっぽいけど」


そうなんだ…。

ちょっと意外な気持ちだった。
けど。


相変わらず好きなメロンソーダを飲む拓巳に、あたしは慌てて「違うの」と続けた。


「ん?」

「違うの。…別に、日向の居場所を聞き出そうとしたんじゃなくて…」



口を噤んだ。

ちょっとだけ心を落ち着けて、心を整理する。



「そりゃ、知ってたら嬉しいよ。場所を知ってたら会いに行っちゃうと思うよ。でも…そうじゃなくて」


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