あの白に届くまで


あたしも拓巳も…大地くんもきっと、
これから自分のことでもっと精一杯になっていく。


大地くんはきっと今大学の進路で迷っている時期で。
その心の隙間に、日向の存在を埋めたいんだろう。


そしてあたしも…またすぐに、自分の未来が見えなくなる。
足元がわからなくて不安になる。

あの頃とは比べものにならない不安。


だけどそれを埋めるのは、
もっと頑張ってるに違いない日向の存在。




―――いつだって

日向は闘ってきた。



それを思い出すと頑張れる。
ってこと。



本当なら会って伝えたい。

もし大地くんが日向に会えたなら、
あたしの心をそのまま伝えて欲しい。




「…柚…?」


…拓巳の声にもちゃんと応えられない。


ぎゅっと目を閉じると素直に涙がほろっと出た。


< 110 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop