あの白に届くまで
あたしも拓巳も…大地くんもきっと、
これから自分のことでもっと精一杯になっていく。
大地くんはきっと今大学の進路で迷っている時期で。
その心の隙間に、日向の存在を埋めたいんだろう。
そしてあたしも…またすぐに、自分の未来が見えなくなる。
足元がわからなくて不安になる。
あの頃とは比べものにならない不安。
だけどそれを埋めるのは、
もっと頑張ってるに違いない日向の存在。
―――いつだって
日向は闘ってきた。
それを思い出すと頑張れる。
ってこと。
本当なら会って伝えたい。
もし大地くんが日向に会えたなら、
あたしの心をそのまま伝えて欲しい。
「…柚…?」
…拓巳の声にもちゃんと応えられない。
ぎゅっと目を閉じると素直に涙がほろっと出た。