あの白に届くまで
俺がここに来た理由。
柚先輩の涙を見たこと…それが後押しになったことは、間違いない。
それでも、やっぱり違う。
俺は俺自身のために、先輩を探しに来た。
それは同時に…自分探しの旅でもあった。
すごく短い期間だけど
――"俺"は何をしたいのか
――"自分"とはなんなのか
見え隠れする答え。
それをちゃんと、見つけたいと思った。
「……は…」
少しずつペースダウンしながらゆっくりと息を吐いて、空をまた見上げる。
夜が明けていた。
ギリギリまでスピードを落として、それでも立ち止まらないまま走りつづける。