あの白に届くまで


正直、なんとなくわかっていた。


日向先輩は見つからない。
こんな広い中、曖昧な情報の中、見つかるわけがない。
わかっていた。



でも…わかってはいても、最後まで諦めたくない。

そんなの"らしく"ない。


―――頑張れ。

頑張れよ俺。




「…」


静かに立ち止まると。

頭のてっぺんから足の先まで、全身がすっかり温まっていた。


自分の足が温かくて確かに血が廻っていて…全力で、"まだ走りたい"と訴えてきているのがわかる。

思わず微笑んだ。





「大丈夫。まだ頑張れる」


言葉にしてみると、
吐く息が震えた。


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