あの白に届くまで
「あれ、おばさんは?」
「友達に誘われてショッピングらしい」
兄貴がそう答えると、ソニアは「ショッピング」と呆れたように首を振った。
「ママはショッピングが大好きなの」
「そ…そうか」
どこの国の母親もみんな似た感じだ。
そう苦笑した俺を、2人の澄んだ瞳がまっすぐと見つめてきた。
「…ん?」
「ダイチ、今日も行くの?」
ソニアが兄貴のぶんまで代表するように尋ねてきた。
腕にしがみついてくる辺り、すっかり俺に慣れてくれている。
単純だけど可愛い。
素直にそう思いながら、ふわふわの髪を撫でた。
「行くよ。もちろん」
「せっかくアメリカに来たのに観光しなくていいのか?俺なんか昨日、おばさんたちとディズニーランド行ってきたぞ」
お土産のチョコをくれながらそう言った兄貴に、俺は笑って答えた。
「観光はまたいつか来るよ。受験が終わったらゆっくり」