あの白に届くまで


最初ほど、焦った気持ちはもうなかった。

泣いても笑っても…明日の夕方には帰らなきゃならない。



―――電車が音を立てて止まった。

目的地の駅で降りて、タクシーを拾う。
行き先を頼む英語ぐらいは喋れるようになった。


30分ぐらいは走るよ。

ドライバーにそう言われて、「オーケー」と頷いた。



4時間は電車やバスを乗り継いだんだ。今さら30分ぐらいどうってことない。

タクシーの後部座席に体を預けて、目を閉じた。


"次の駅で降りないと"という緊張感がないから、すっかりと眠りに落ちた。

体が疲れているのがよく分かる。





日向先輩に会う夢を見た。



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