あの白に届くまで


そんな気がした。

だけどまた目を開けば、それは錯覚なわけで。それは幻聴なわけで。


俺は1人で、こんな遠い場所に立っている。




―――あの日の俺がもういないのと同じように
あの日の先輩たちはもういない。









「…Who?!」


びくっ、と肩が飛び跳ねた。

怒鳴るような勢いでそう声を掛けられて、思わず目を丸くしたまま振り向いた。
大股で歩いてきた赤ら顔のオジサンに怯えずにはいられなかった。



「あ、あの…」

「○△★¥@%◎!?…£▼※●!!」



早口で、何を言ってるのかさっぱりわからない。
でもどうやら、このグラウンドは今の時間帯には入っちゃいけない場所のようだった。

赤ら顔でベラベラ喋り続けるオジサンを、俺は慌てて「ソーリー!」と遮った。

オジサンがキツい目つきを少し和らげた隙に、なんとか拙い英語を続けた。



人捜しをしてるんです。
この学校に、日本人の方はいますか?と。


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