あの白に届くまで
あと、ものをよく落としそうなところも。
思わずじっと見つめてしまう。
お姉さんはくすぐったそうに「…あの?」と小さく笑った。
「あ、すみません」
慌てて失礼を謝ると、首を傾げたままの彼女に付け加えるように言った。
「あなたにとても似た、日本人の友達がいるんです」
「…あら」
彼女はその大きな瞳を一瞬見開くと、少し何かを考えるような表情になった。
そしてすぐに人懐っこい笑顔を向けて言った。
「ねぇ、少し時間あるかしら?」
「あ…はい。少しなら」
「わたしの家、ここから5分ぐらいなの。アップルティーでも煎れるから寄っていかない?」
年が2つしか違わないのに、年頃の女性の家に初対面の高校生男児が上がり込むというのは大丈夫なんだろうか。
そう考えたけど、気がつけば「はい」と返事をしていた。
異国のムードに流された。
というよりは、彼女が放つ、温かくも独特なムードに流されていた。