あの白に届くまで


彼女の名前は、カナというらしい。


のんびりとしたカナさんの雰囲気によく似合った家だった。
郊外ということもあって大きな家が立ち並ぶ中、こじんまりとした…それでもおとぎ話に出てきそうな可愛い雰囲気の家。
ソニアが喜びそうだな、と思った。



「お邪魔します」

「どうぞ」



家の中はきちんと片付けられていて、バニラのような甘い香りがふわっとした。

さっそくキッチンに立ったカナさんは「どうぞ。そこに座って」と食卓に並んだ小さな椅子を指差した。



「一人暮らしなんですか?」


そっ…と椅子に腰掛けてそう尋ねると、やかんに水を入れながらカナさんが「そうよ」と答えた。


「高校の時から、大学はアメリカに行くって決めてたの」

「すごいですね」


よっぽど英語が出来たんだろうな、と感心せずにはいられなかった。

日本語でさえ理解しにくい授業を全部英語で受けて勉強しているなんて、めちゃくちゃ尊敬する。


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