あの白に届くまで
カナさんは柔らかく笑った。
本当に幸せそうな、心からの笑顔だった。
「過去に戻れたらいい。そう思うことはあるけど、いざ戻れる魔法みたいなチャンスが現れたとしたら…わたしはきっと戻らないな」
「あの…」
「…うん?」
「その、好きだった人は…」
ああ。
話を続けなくちゃね。
カナさんは微笑んで頷くと、話を続けてくれた。
「その人は色々事情があって…話せば長くなるし難しいから省くけど、本当に色々あったの。
高2の夏かな。…いや、夏よりもっと前かな。
わたしは最初からアメリカに進学する予定だったから、進路指導室に向かってたのね。アメリカの大学をいっぱい載せたパンフレットを持って。
…そしたら、彼にたまたまぶつかったの。」