あの白に届くまで
行った大学は全部ハズレだったけど。
―――結果的に、最後に、ちゃんと答えを見つけることが出来た。
それは俺が願っていた以上の答えだった。
電話を終えると、タクシーの窓から青空を眺めた。
カナさんの言葉をもう一度、思い出す。
"弱い自分を変えるために"
"大切な人を大切にできるように"
―――そうなんだ。
"あの人"はそういう人なんだ。
わかっていたはずなのに、ちゃんとわかっていなかった。
心のどこかで不信感さえあった。
何も言わなかったら、何も伝わらないじゃないか。
そう苛立ったことさえあった。
今ならその考えが愚かなものだったことに気づく。
時には、"言わないこと"が最大の強さであること。
あの人は…
日向先輩は、
―――痛みを全部自分で抱えて、背を向けて旅立っていった。
そういう人。