あの白に届くまで
電車が来るたび、人々が乗り込んで人々が吐き出される。
そんな動きをよそに…俺は駅前で少しだけ立ち尽くしたまま、青空を見上げた。
心臓が必死に鼓動を刻んでいる音が聞こえている。
…日向先輩と俺は、違う。
やっぱり似てないと自分では思うし、俺は日向先輩と代わりたいわけじゃない。
全く違う人生を歩んでいく全く違う人間が、たまたま"陸上"という奇跡みたいな共通点で交わっただけ。
――…それでも。
それでも俺は
一生あの人に憧れ続けて
あの人に近づきたいと願い続けて
明日も明後日もしあさっても
同じように笑って
同じようにめげないで
生きていくと思うんだ。