あの白に届くまで
わかるだろ?
そう柔らかく言った真琴先輩に、こくりと頷いた。
「隆志先輩はもう就活してるし、雄大はああ見えて国立大の法学部だ。司法試験に向けて勉強してる。…拓巳だって、医大で頑張ってる」
一人一人の姿に、将来の夢がきれいに重なって見えた。
全員の時間が着実に前に進み
輝かしい未来に向かっている。
真琴先輩の言葉は、よくわかる。
思い出にしなきゃいけないことがある。
前に進まないといけない時がある。
どうにも元には戻れない、戻せないことがある。
「…でも」
「ああ」
「俺は日向先輩に会いたいんです。どうしても。…何か迷いを感じた時、いつも一番欲しい言葉をくれたのは日向先輩だから」