あの白に届くまで
今の俺の話を聞いたら、先輩は笑うだろう。
「バカかお前は」って。
…それでいい。
そう言われたら俺だって、「そうですよねー」って笑い飛ばせる。
「ああ。…皆、あいつには会いたいよ」
真琴先輩は俺の肩を軽く叩いた。
そして飲みかけのウーロン茶のグラスを持つと、一気に煽る。
カラン…と氷のかち合う音がした。
俺はそっと聞いてみた。
「…止めますか?」
「…いや」
氷だけになったグラスをどんと机の上に置くと、
真琴先輩はすっとした目を俺に向けた。
「別に止めはしない。大地の人生だ」
雄大先輩達は相変わらずカラオケで盛り上がり続けている。
俺と真琴先輩だけ、少し隔離された別の空間にいるみたいだった。