あの白に届くまで
俺は心の中にしまっていた進路を打ち明けた。
真琴先輩の目が少し細くなった。
「スポーツ科学…大地にぴったりじゃんか」
「でも、親父はサラリーマンだから経済学部を勧めてくるんです。経済を知っていれば、民間企業に通用するから…って」
"スポーツはお遊びだけにしろ"
"当然、引退したらもう陸上人生は終えるんだろ?"
そんな圧力に苛まれて
「仕方ない」。
俺自身がそう思っていた。
けど。
やっぱり俺は、それでも陸上に関わっていたい。
その思いは心のどこかで消えることなく残っていた。
「行ってこいよ」