あの白に届くまで
旅立―if i were bird
「…お前、何考えてんだ」
親父が抑えた声でそう言った。
冷静だけどそれはとても冷たくて、血の通っていない声だった。
「もう一度言って欲しいなら、言うけど」
久しぶりに家族全員が集まった食卓。
母さんはハラハラとした表情で俺と親父を見比べているけど、兄貴は何食わぬ顔のまま食事を続けている。
俺は唐揚げを箸でつまみながら、なんてことない顔をして続けた。
「旅費は全部自分で出すよ。宿泊先は心配いらない。雄大先輩の叔母さんがカリフォルニアに住んでいて、そこに泊めてもらえるみたいだから」
「ふざけるな!」
ドン!と親父が拳でテーブルを叩いた。
母さんがそれにびくっとしたし、兄貴は味噌汁をテーブルから持ち上げた。
…予想通り。