あの白に届くまで


すぅ、と息を吸った。


そして深呼吸してから頭を下げた。




「お願いします。行かせてください」

「あのな、大地…」




ため息混じりに首を振った親父に、俺はそのまま続けた。



「進路とかこれからの自分の将来とか…そういうの考えると…すっごいしんどくなって、息がしづらくなって、逃げ出したくなるんだ」





兄貴が頬杖をついて俺を見た。

母さんはお茶を煎れながら、何も言わずに聞いている。



…親父も、黙っていた。




「逃げたかったんだ。ずっと。今でも逃げたいのかもしれない。けど…」



うまく言葉に出来ない。
それでも必死に、続けた。





――大丈夫。


本気でぶつからないと、本気では応えてもらえない。



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