あの白に届くまで
先輩達がいつも、俺に教えてくれたこと。
「その人に一言だけでも、話を聞いてもらえたら…頑張れる。今の道で迷いがないって思えるから」
スポーツ科学部。
その進路はあえて、まだ口に出さなかった。
もう一度深く頭を下げた。
「お願いします」
ふう、と親父が息をつくのが聞こえた。
そして「2週間だ」と降りかかった声に、思わず顔を上げた。
「…え?」
「期限は2週間だ。それを過ぎたらもう家には入れないと思え」
思わず瞬きを繰り返した。
…絶対に認めないだろうから、家出に近い形で飛び出すつもりだったのに。
言葉をなくす俺に、兄貴が「良かったな」と小さく笑いかけた。