あの白に届くまで



母さんもほっとしたように、湯のみを親父の前に置いた。


「ほら。お茶でも飲んで」

「…ああ」



親父は若干不機嫌そうだけど、
まぁ行かせれば気が済んで受験に集中できるんだろうし、いいか。

そんな表情をしている。



あえて進路変更の話をここで持ち出して
ややこしくすることはない。

俺はそう判断すると、唐揚げを口に放り込んだ。



「でも、大地」

「…?」

「俺もついてくよ」

「…ふぁ?」



笑顔でふとそう言い放った兄貴に、
思わず唐揚げを飲み込んでしまった。



…な、
何言ってんだ、こいつ。


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