あの白に届くまで
それでも次の瞬間には
その目はいつもの明るい目になって、
白い歯を見せてにっと笑顔になった。
『明日死んでもいいと思う人生なんて、くだらないな』
『…え?』
『明日死んでもいい、じゃなくて、明日も生きてやる。そう思う人生の方が100倍いい』
まったく、この人は…
明日も明後日も
しあさっても
同じように笑って
同じようにめげないだろう。
決して同じように流れることはない時間の中で
永遠に陸上バカなんだろう。
なんて尊い人なんだ。
そう思うと自然に、
涙が出てきていた。
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「…大地、一度起きろ」
肩を強く揺さぶられて、目を覚ました。
少し不快な振動音が耳に響く。
飛行機特有の匂いに、はっと我に返った。
「機内食冷めるぞ」