あの白に届くまで


既に機内食を口にしている、兄貴がそう言った。



「…あ、うん」

「スパゲッティかカレーか聞かれたからカレーにしといた」



お礼の代わりに小さく笑みを返して、
窓に目を遣った。





夜だから外は何も見えなかった。



暗闇の中飛行機は飛んでいる。

手探り状態だけど、俺はあの人に近付いていっている。



そう思うと少し体が疼いた。






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